昨年3月から5月にかけ約2か月間開催された、毎日新聞社・毎日書道会とフランス国立ギメ東洋美術館主催による 「SHO1 現代日本の書代表作家41人展」 に続き、本年10月23日より2014年1月13日まで、「SHO2 現代日本の書代表作家100人展」 が盛大に開催された。
毎日書道展に参画する団体より100人が選抜され、昨年と同じ毎日書道展公募作品サイズで、一部ケース陳列のため巻子、帖、更に軸装での出品もあり作品内容は多彩であった。特に額装作品は輸送の関係から裏打ちは日本で行い額装を事前交渉の上、パリ市内の工房に依頼した。仕上がりはマットで黒、朱、青、緑などの額縁はシンプルで美しく出来上がっていたが、一部浮き上がってたるみのあるものもあり難点もあった。初めての試みであり、仕方ない面もあった。
本展実行委員長として10月17日より現地入りし、開幕セレモニー、ワークショップ、揮毫会などの各種イベントを無事こなし10月28日早朝帰国と長期間の任務となった。10月22日夕刻、内覧会とレセプションが日本より訪れた520余名の参観団、フランス国内の招待者、報道関係者をお招きし盛大に開催された。美術館地下1階の大ホールは約300名が集い、代表5名による揮毫会が舞台上で催された。漢字部石飛博光、かな部松井玉箏、近代詩文書部船本芳雲、大字書部仲川恭司、前衛書部中原茅秋の各氏が披露、喝采を浴びた。開幕挨拶は朝比奈毎日新聞社社長、森川駐仏日本大使館公使参事官、フランス側はノエル・コルバン文化通信省次官補とギメ美術館フレデリック・サリ副館長が行った。その後カクテルパーティが行われた。地下1階とホールに入れなかった日本訪仏団約300名は1階エントランスホールにてにぎやかに行われた。訪仏団は大小27団におよび、入退場の交通整理、バスの手配で大混雑となった。
翌23日はフランス国立図書館にて唐太宗皇帝書、温泉銘の原拓参観が1回20分、20名限定、27回に分け特別室にて朝10時から午後7時過ぎまで行われ、天下の孤本の参観は極めて稀で、また500名余への公開は考えられない企画であったが、3年越しの交渉が実現した。今回の参観者には貴重な機会となった。皆本物の持つ迫力、魅力に酔いしれた好機となったと思う。
夜7時半より市内の超豪華ホテルウエスティンパリの最高級宴会場 「インペリアルホール」 での祝賀会。全員着席の上、素晴らしいフランス料理を頂く。500名を超える参加者は宮殿を思わせる荘重華麗な大ホールに息をのみ、シーフードをベースにした料理は素晴らしく、余興のアコーデオン演奏が奏でられる中、楽しく和やかに9時半過ぎまで盛会であった。
24日より26日まで3日間、ギメ美術館円形ホールにて午前中ワークショップ、午後揮毫会を1回20名定員で連日行う。24日のワークショップは安藤豊邨氏による 「刻字」 をテーマに、院より後藤大峰氏も助講師として担当、本格的な桂材による刻字制作を安藤氏が、希望者6名にセラミックボードでの実習も行われ、参加のパリ市民は興味深く参観また実習を行った。午後の席上揮毫会は漢字鬼頭墨峻、かな下谷洋子、大字書柳碧蘚の各氏が披露。質疑では墨や紙、筆など色々な質問が寄せられ充実した内容であった。25日は永守蒼穹主任講師によるワークショップ、午後の揮毫会は漢字荒井智敬、永守蒼穹など4名が揮毫した。26日山中翠谷主任講師によるワークショップ、午後の揮毫は近代詩文書を辻元大雲、大字書山中翠谷、前衛書を丸尾鎌使が担当した。いずれも熱心なパリ市民の参加により充実、熱気に溢れた催しであった。
このワークショップ・揮毫会は今後11月12月1月に各3日間開催が予定されており、11月13日~18日には書道芸術院中心の団が辻元大雲団長、下谷洋子、小竹石雲を担当者、ほかに同行者計17名で結成されている。14日には辻元大雲が講師、小関瑞華が助手としてパリ日本人学校で書写書道授業を小中学生対象に行うことも計画されている。